世快逸秀
飛行機改め自転車

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 唯一の国産旅客機「YS−11」が、惜しまれつつも2006年9月30日に営業運航を終えた。1956年に開発着手し、62年に初フライト。74年の製造終了までに2機の試作機を含めた182機が製造され、一部は海外にも輸出された。郷愁すら呼び起こすプロペラの音はもう聞くことはできないが、このほど折り畳み自転車として蘇った。

 旅客機の引退と入れ替わるかのように誕生した自転車は、もちろん「名前が同じ」というだけではない。しっかりと魂が残っている。というのも、設計したバイク技術研究所の白井健次さんは、かつて日本航空機製造に勤め、YS−11の製造に携わった経歴を持つ。


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 白井さんにとって、自転車とYS−11は特別な存在らしい。「自転車は幼いころ自分の行動範囲をぐんと広げてくれた。一方、YS−11は、かつて住んでいた北海道の交通事情を飛躍的に改善した」と振り返る。YS−11という自転車を生み出すことは、白井さんにとって必然だったのかもしれない。

 実物を前にまず片手で持ってみた。人間は自転車のおおよその重量を知っているから、無意識に力をいれてしまうが、YS−11は7キロそこそこなので、上空に投げ出してしまうくらい軽かった。ペダルを漕ぎ出しても際立つのは軽さ。タイヤの直径も小さいためだろうが、極上の出足が味わえた。

 車体の大半は、飛行機のボディーにも採用されている硬質ジュラルミン。カーボン複合材も巧みに組み込んである。国産の折り畳み自転車では、チタン製で世界最軽量をうたう6.5キロの製品があるが、それに次ぐ軽さだ。

 折り畳み式といえば強度も問われるが、白井さんはYS−11の骨格にならい溶接技術を取り入れた。通常なら太いパイプ1本で済ませる骨格(フレーム)を細いパイプ2本構造に改めたのだ。

 飛行機を発明したライト兄弟は自転車屋を経営していた。自転車屋が飛行機を飛ばし、今度は飛行機屋が自転車をつくる――。YS−11は回帰でもあり、新たなる挑戦でもある。

文・保坂秀夫

税込み価格  8万9250円(最軽量のYS−11リミテッド)
問い合わせ先  有限会社 バイク技術研究所(下記ホームページからメールにて)
ホームページ  http://bikes.health-life.net

(ほさか・ひでお)1960年東京生まれ。モノ系雑誌編集者を務めるとともに、他媒体にモノに関するエッセイなどを寄稿。保坂秀夫はペンネーム。


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(2006.11.20)








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