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白井さんにとって、自転車とYS−11は特別な存在らしい。「自転車は幼いころ自分の行動範囲をぐんと広げてくれた。一方、YS−11は、かつて住んでいた北海道の交通事情を飛躍的に改善した」と振り返る。YS−11という自転車を生み出すことは、白井さんにとって必然だったのかもしれない。
実物を前にまず片手で持ってみた。人間は自転車のおおよその重量を知っているから、無意識に力をいれてしまうが、YS−11は7キロそこそこなので、上空に投げ出してしまうくらい軽かった。ペダルを漕ぎ出しても際立つのは軽さ。タイヤの直径も小さいためだろうが、極上の出足が味わえた。
車体の大半は、飛行機のボディーにも採用されている硬質ジュラルミン。カーボン複合材も巧みに組み込んである。国産の折り畳み自転車では、チタン製で世界最軽量をうたう6.5キロの製品があるが、それに次ぐ軽さだ。
折り畳み式といえば強度も問われるが、白井さんはYS−11の骨格にならい溶接技術を取り入れた。通常なら太いパイプ1本で済ませる骨格(フレーム)を細いパイプ2本構造に改めたのだ。
飛行機を発明したライト兄弟は自転車屋を経営していた。自転車屋が飛行機を飛ばし、今度は飛行機屋が自転車をつくる――。YS−11は回帰でもあり、新たなる挑戦でもある。
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